エヴリシン バッザ ガール

古本屋だったはずがゲームの買取を始めて古着も売り出して…などとよくわからない多角経営を開始してしまう店というのはたまにある。
俺の知る、とある古本屋もそんな店のひとつだったのだが、今日店の前を通りかかると、ついに「何でも承ります」という貼り紙が貼られていた。

なかった出来事に関する記憶

高校生の頃、ラジオをつけっぱなしで眠ってしまったら夢の中に数学者の秋山仁氏が出てきて「僕はこう見えても昔は数学が苦手だったんですよ」という話をしてくれた。「へー。秋山さんでもそうなんだー」と思いながらしばらく拝聴しているとパッと目が覚め、自室のベッドの横からノイズ交じりのAMラジオの音。ラジオから聞こえてくる「僕はこう見えても昔は数学が苦手だったんですよ」という声はなんと秋山仁のものであった。秋山仁の夢を見ていたのはラジオの影響だとして「数学が苦手だった」という告白を聞いたのは夢の中が先。もちろん俺は彼の過去についてなど何も知らなかったので、これは予知能力だ。なんと未来予知に成功してしまった。
 と思ったんだが、まっとうな頭で考えるならば、これはラジオの声を聴いた瞬間に記憶を自ら改竄したとするのが自然だろうな。シンクロニシティを感じた人間が「ひょっとしてこれは夢で見た景色ではないかしらん」などと思うことはあるが、あの「ぎゃあ!秋山仁が夢の中と同じこと言った!」という鮮烈な驚きはあれに感じるようなあやふやなものではなかった。あれが自らが一瞬にして作り上げた虚構の驚きであるとはなあ。
しかしまあ待て。俺が予知能力者であるという線も捨てられんだろう。そういえば同じく高校生の頃、夢の中に「ジャントニオ・イノバ」というレスラーが掲載されている雑誌が出てきたのだが、あれはなんだったんだろうなーと思いながら本屋でファミ通買ってきたら、新作として紹介されている大仁田厚のプロレスゲームの敵キャラとして「ジャントニオ・イノバ」が登場していたということがあった。


まあ、この片方もしくは両方が予知能力の結果だったとして、なんら俺が得することはなさそうなのだが。

記憶にまつわるエトセトラ

ついでに過去ログから間違った記憶に関する話を2つ。

  • 生まれた日に(漫画の台詞に関する記憶)

http://d.hatena.ne.jp/lu-and-cy/20050805#p2

  • 僕は絶対に絶対に嘘なんか言ってNAI(近所に豹を飼っている家があった話)

http://d.hatena.ne.jp/lu-and-cy/20060311#p2


俺は事実と記憶の食い違いについての話が好きだ。清水義範の「シナプスの入り江」みたいなのが読みたいんだけど、ああいうのないかなあ。あ、そうだ。コメント欄で教えていただいた向田邦子の本は楽しく読むことができました。ありがとうございます。