ルフィさんのポリシーとは

ロビンが自分たちのために死のうとしているのが許せないというルフィさんですが、イガラムがビビのために爆死したとした時は「立派だった!」とか言ってなかったか?ロビンの覚悟も認めてあげてください。
「ロビンは仲間だけどイガラムは仲間じゃないし」という差があるのかもしれんが(それでもたいがいなんだけど)、だとしたら、あの時に横にいたビビの気持ちはルフィにとってどうでも良かったことになってしまう。どうした、ちびっ子の人気者。それでいいのか。
人の死が明確に描かれない事でおなじみのワンピース*1だが、そのなかでも"ルフィと死"にまつわるようなエピソードはどんなものがあったか思いだしてみた。
単行本が手元にないので記憶の範囲でいくつかだけど。

  1. ギロチン台にかけられて「悪ィ、オレ死んだ」
  2. ビビが逃げるのを手助けするために爆死するイガラムに「立派だった!」
  3. 青キジから仲間達を逃がすために自分の命を捨てようとした*2

最近の少年漫画で「勝って生きて帰るんだ」が主流となりはじめている中、ルフィの特攻精神はかなりのもんである。3にいたっては完全に死ぬ気でいる。しかし仲間のためなら死を厭わないというのは少年漫画での伝統であり、1話で自分の弱さゆえにシャンクスから腕を奪ってしまったことから考えても「仲間第一」はおかしなことではない。ワンピースの重要なテーマのひとつだしね。
だが1,2,3から見えるのが何かというと「死を覚悟する=かっこいい」なんだよなぁ。ルフィは海賊なので我々の道徳に照らし合わせてあれこれ言ってもしょうがないんだが、するとひっかかってしますのが前述のイガラムに対する扱い。
うーん。つまりルフィなりに思想の優先順位があるってことなのかなあ。
しかし1に関してはさっぱりわからん。仲間を守るためでもないうえに、雑魚に囲まれたとかいうどうでもいいイベントで死ぬのはどう考えても全然かっこよくない。だいたい、ルフィの死は海賊団のメンバーにとっては「仲間の死」なわけで、こんなどうでもいいイベントで死なれたら仲間も悲しかろう。ルフィは自分の意見は主張するけど、相手の気持ちは考えてないのか?
ああ。バカだから相手の気持ちを推し量ることができないとすると「ビビの気持ちを考えてなかった」ってことで納得いくなあ…。
結論:ルフィさんなりに色々考えてるけど、バカなので他人の気持ちがわかりません


ふと気付いたんだが、今のジャンプってバカで直情型主人公率が妙に高いな。
ワンピースのルフィ、BLEACHの一護、NARUTOうずまきナルトHUNTER×HUNTERのゴン、Mr.FULLSWINGの猿野と長期連載作品はバカ主人公が多い。
アイシールド21のセナも学校の成績が悪いという設定だが上に挙げる意味のバカではないのでパス、同様にボーボボ両津勘吉もパス)
「バカ主人公は、読者が親しみやすいだとか作者がキャラを動かしやすいだとかいう理由でありがちではないのか?」という意見もあろうけど、実は過去のジャンプ作品にはそう多いタイプではない気がする。
星矢、ケンシロウ、翼、冴羽獠剣桃太郎、広野健太、ジョジョ、ダークシュナイダーあたりは違う。
強いていえばキン肉マンあたりがバカ主人公タイプかな。
やはりドラゴンボールあたりから大きく変わるんだろうか。年表まで見てないのではっきりとは言えんけど。
単純にバカってだけだと余所とかぶっちゃう…というか悟空になってしまう可能性があるから妙な個性をつけたそうとした結果、キャラクターが微妙に歪になってしまうのやもしれん。
で、直情バカは複雑な思想とは相容れないはずなのに無理して作品のテーマを主人公に語らせようとしちゃったために、読み手が妙な違和感を感じたりすることがあったり。
そしてバカというキャラクターに付加するもので最近はやりなのがトラウマ。これがまたアレなんだよな。1つのキャラクターの中でバカとトラウマを統合できないために、二重人格みたいになる。個性的な主人公を描くのって難しいんだろうなあ。

*1:過去パートではわりと死んだりする

*2:青キジの推測ではあるが