やおい その他の悪霊の神々について

物語の登場人物は自らの運命を司る神を選べないはずなのだが、二次創作物という平行世界において別の神の庇護の下に生きることになる場合もある。
その平行世界の特異な点は、世間が妙に同性愛に寛容になることでもキャラクターの性的嗜好が変わってしまうことでもなく、ときとして存在するはずの女性キャラクターが消滅してしまうことではないだろうか。それは女性に限った話ではなく限られたページ数で物語を展開させる以上、不穏分子は一切排除せねばならぬということかもしれないが。異性愛こそアブノーマルの世界においては、女性が削除対象に選ばれやすいということか。
その干渉は用意された物語の設定を緩やかに崩す場合もある。だだっ広い海洋にぽつりと浮かぶ船の上であるにもかかわらずゾロとサンジ以外の乗組員が見あたらなかったりだとか、任務の基本はスリーマンセルのはずなのにナルトとサスケしかいなかったりとか、第二のキラが影も形も存在しなかったりとか。
山の神は女性だと聞く。山の神が想定する幸福が紙の上で維持され続けるためには、彼女以外の女性に信徒が目を奪われることがあってはならないのだろうか。そういえば、やおい作家はギリシャ神話の神によく似ている気がする。嫉妬深く残酷に人間達を翻弄する点において。
ギリシャ神話といえば聖闘士星矢。オタク女性の間で星矢が大ヒットしたことは必然だったのではないだろうか…という意見は俺がこの文章の結び方を思いつかった故のこじつけである。