加護とロボット

世界は加護を忘れ始めた。もう加護の事を覚えているのは君だけだ。
まあそれはともかく、いつだったかモー娘のコンサート(たしか埼玉アリーナだった)の開演前に流れていた曲がなぜかクラフトワークだった。これからモー娘を見るのに耳に飛び込んでくる曲は「ウィー アー ザ ロボット」とかで困った感じになったのだが、俺にはすぐにこれが加護の指示によるものだとわかった。
アイロニーや! うちらなんて所詮ロボットやっちゅうアイロニーや! 商業主義に唾を吐く加護流のパンクを見せたる」
ということで勝手にMCの台本を書き換えたらすっごい怒られた。それで譲歩してこんなことになった。まあ想像なんだけど。
だが根拠なき想像はのちに裏付けられた。ダブルユーロボキッスという曲を出したのだ。振り付けに挿入されたロボットのパントマイムを見ながら「加護ちゃん 俺にだけは伝わっていたよ」と大きく頷いたものだ。
そして、皆もよく知るあの事件が起こった。すぐに鎮圧されたロボットの反乱。
俺は、ロボットから脱却したかった彼女が強硬手段に及ぶまでの心境を想像すると胸が痛んだ。加護の胸も痛んだであろう。辻の胸も痛んだ。2人を応援していた皆の胸も。
人間を真似したロボットの行動は即座にマスメディアによってばらまかれ、彼女はロボット三原則のもとに打ち据えられた。アシモフも「だめですよ」って言った。加護はしゅんとした。そして世界は加護を忘れはじめた。もう加護の事を覚えているのは君だけだ。しかし君が加護の事を覚えている限り必ず加護は帰ってくるだろう。アニメでも新シリーズになればロボットは頭にグレートをつけたり尻にZをつけたりして帰って来るものだ。帰ってきた加護は今までよりも強いに違いない。あとはその強さがどの方向へ向かうかだけが問題なのだ。良いも悪いもリモコン次第。未来の加護は君の手にかかっている。だから君は、君は正しい心を大事しなくてはならないんだ。