餓鬼王ゴウダ

あだ名としての酷さはブタゴリラよりキテレツの方が数倍上だと思う俺なのだが、そんな俺が今一番気になるあだ名がジャイアン。おそらくジャイアントからきてるのだろうけど、なんで「ト」を省略するのか。当時の漫画はある程度のわかりやすさを求められていたと思うんだが、その中でガキ大将の名前にジャイアンってつけるセンスはどうなのか。わかりやすくジャイアントじゃいけなかったのか。もう我々はジャイアンという名前に慣れすぎてこれを客観的に見る事ができなくなっちゃってるけど、これって無難な路線からちょっと外れたネーミングだよな。現に、他の藤子漫画でのガキ大将はブタゴリラだとかゴジラだとかいう直球ストレートなわけじゃないか。別にジャイアントで良いと思うんだがなあ。
まあ、ジャイアンツやジャイアント馬場のイメージを避けたのかもしれんが、おそらくは響きの問題であろう。ジャイアントでは間延びしすぎているし仰々しすぎる。
『ジャイ』部分の荒々しい響きでボス感を表し『アン』部分のマイルドな響きで子供感を表す事によってバランスを保っているのだろう。
つまりこうだ。

ジャイ(大将の凄み)+ アン(子供らしさ) = ジャイアン(ガキ大将)

これが後半も荒々しい響きであったらどうなるか。かの男が『ジャイゴス』という名前であったとしたら少々凶悪さの度合いが強すぎるだろう。
「俺はジャイゴス」などと歌われたら、その後に続く文句が「餓鬼大将」程度で済むとは思えない。「魔界王」ぐらいは当然のように飛び出しそうだ。「のび太スネ夫は目じゃないよ」どころか、「のび太スネ夫の目が無いよ」ぐらいの残虐行為は平気で行いそうじゃないか。すなわち『アン』は安全弁みたいなもんだな。逆に名前の前半もマイルドで『プニョアン』だったりしたらそれはそれでマズい。やはりジャイアン程度が丁度良かろう。


ジャイアントという意味があってはならない。しかし響きにはガキ大将的なイメージをもたせたい。そんな藤子先生の思いがジャイアンという名前を生んだのじゃないかと思った。多分違うんだけど。