デキチャッタ半島

死語にならずに生き残った言葉として「できちゃった結婚」ってのがあるな。頻繁に口にしなくてはならないフレーズでもないから風化の速度が遅く、かといって全く使われなくなるほど使用頻度の低いフレーズでもないため、消滅することもアップデートされて別の言葉に置き換わることもなく生き残ってきたのだろうか。例えばマルキンだのマルビだのといった言葉(金持ちと貧乏を表す古代語)は激しく使用された末に風化して消えてしまうし、冬彦さん現象(マザーコンプレックスを表す古代語)は使う機会がなさ過ぎるので消えてしまう。いや、冬彦さんの方は別に理由がありそうだけど。
しかし無駄に長いよな。できちゃった結婚って言葉。口にしてみるとちょっとした呪文みたいだ。発動すると子供が出てくるのだろうか。今は「でき婚」なる略称もあるようだが、ここに至るまでは皆、こんなゴロの悪い言葉を使っていたのか。それはまあ「ちゃった」という言葉の据わりの悪さよな。この「ちゃった」という言葉には「婚姻そして出産という人生の重要イベントであるばかりでなく新しい命を創造するという神聖な行為を無責任かつ無計画にカジュアル感覚で実行してしまうジェネレーション。日本が危ない」という悪意が込められているのだろうが、にしてもこれのせいで一塊の言葉として見たときの不恰好さが増しているような気がする。口にしてみるとなんか激しくて良いんだが。さっきもずっと「できちゃった結婚」って呟きながら夜道を歩いてた。意味を考えないとオタ絶賛的な響きのかっこよさがある。まあ、言い過ぎて感覚がおかしくなってるだけかもしれんが。今日だけで100回は口にした気がするし。
しかしこれ90年後半あたりのフレーズなんだな。もっと昔から使われてるような気がしてたけど。じゃあこれ以前はなんて呼んでたのかなあと思ったが、その頃は口にするのも恥ずかしいような出来事だったわけで該当するような単語が発明される必要もなかったのかもしれん。婚前交渉なんて言葉が使われていた時代ならなおさらだろう。
アメリカではショットガンウエディングなんて呼び方をするらしいが、他の国ではどうなんだろうな。なんか「悪魔がどうたら」みたいな苛烈な呼び名をつけられてる国だってあるかもしれないよなー。悪魔が乗り移っちゃった婚、みたいな。