○本の住人、百合星人ナオコサン

ツッコミがあるということは、その世界には常識が存在するということだよな。間違っている人間に対して「あなたは間違っています」という指摘しているわけだから。漫才においては間違いは常時監視されたうえで逐一訂正される。超監視社会……!!まあ、かといってボケ側が虐げられてるということもなく、それどころか大体においてボケ側の方が場に対する支配力をもっているものだ。そこにコメディのおかしさがあるわけだしな。
間違い指摘間違い指摘の振り子運動が笑いに繋がるのは事実だが、物語においては指摘のターンは頻繁になくてもいいよなーと思ったりもする。せっかくどんどん常識の大地から浮上していく物語を逐次地上に引き戻されても……みたいな。
そういう意味で○本の住人はウェブで見て大好きだったkashmir氏の雰囲気からすると常識の引力が強すぎる気がした(といっても面白かったんですが)。そういうこともあって百合星人ナオコサンは買おうかどうしようかなーと迷ってたんだけど、こっちは期待を裏切らない感じ。単純に掲載誌の傾向が違う(俺は掲載誌についてよく知らない)のかなあと思ったが、もしかしたら○本の住人の場合は主人公と兄という間柄上、保護者的ツッコミ(妹だけど)の頻度が増えざるを得ないのかなとも思った。ちーちゃんとの絡みのシーンではあまりツッコミ過多な感じはしなかったし。いや、これは主人公に制御できないレベルのボケだからって理由なだけかもしれんな。兄のボケには理由があるし、その傾向も主人公には読めてるんだけど、ちーちゃんのボケは突飛すぎて「それは間違ってる」という指摘まではできても「何がどう間違ってる」という指摘まではできないというか。ナオコサンも同傾向だしな。どっちが良い悪いの話でなく俺の好みの問題でしかないので、あんまりつきつめて考えていっても仕方ないんですが。
ちなみに俺がkashmir氏に期待してるのはココ(http://picnic.to/~kashmir/diary0410.html)の300コママンガみたいなやつ。改めて見たけど、これすごく面白いな。そしてナオコサンを読んだ感じ、わりとそういう期待にこたえ続けてくれそうな予感がしたので、引き続き心の中で応援していきたいと思った。