ゲームと虫の夢

嫌な夢を見た。
夢の中の俺は「かつてゲームが表現できる絵は、たかが知れていた」と若いゲーマー達に言う。続けて「単純な一色の線で表現できるように昔のゲームの敵キャラは虫ばかりだった。そして、その多くは蟻であった」と俺は語る。
ここで俺の回想が入る。様々なゲームに登場する一色の虫。その多くは蟻であり、残りは蟻に似た蟻でないものだった。
更に俺は若者達を睨みつけながら熱弁をふるう。「だから今のゲーマー達は虎やライオンといった大型の四足獣や、ドラゴンのような空想上の生物と戦えることを感謝せねばいかん!お前等はとんでもない贅沢な生活を送っているのだぞ!」
俺は大声で叫びながら、若者達の前でわあわあと泣き崩れるのだった。


言うまでもないが昔のゲームに動物が登場しないだとか、まして敵キャラは蟻ばかりなどということは全くない。
それにしても夢の中の回想シーンに出てきた虫ゲームの数々がすごかったな。次々と頭の中にスクリーンショットが浮かんでは消えていったのだが、その全てが恐ろしいまでに無味乾燥。逆に、負の努力とかがないとここまで味気ないものは作れないのではないかというレベルのゲーム画面、その全てに蟻。浮かんでは消え浮かんでは消えを繰り返す様々な蟻。思い出の宝石箱には砂がギッシリ。そりゃあ俺も泣きながら思い出話のひとつも語るかもしれんわという。
目を覚ましたあと、一色で描かれた動物が出てくるアーケードゲームとしてセガのトランキーライザーガン(79年)、タイトールパン三世(80年)が浮かんだので検索してみたんだが、思ったよりずっとしっかりしたドット絵だった。安心した。