ハルマゲドンバスターの思い出

http://www.youtube.com/watch?v=4MT3glr4b50
フランコバッシュの技、ハルマゲドンバスターのボイスが「春巻き買ってきますた」って聞こえる。


リアルバウト餓狼伝説は俺達の青春だった。前作が前作だっただけに相対的に良作という評価がないわけではないが、世間的に見ればビッグタイトルとは言い難いゲーム。対戦バランスも正直あまり良くない。しかし俺達は学校帰りはもちろん、休日も行きつけのボロいゲームセンターに通い続けた。UFOキャッチャーやプリント倶楽部のヒットでゲーセンが綺麗で明るいものに変わりつつある中、その店は昔ながらの薄暗さと小汚さと無愛想な爺の店員をキープしつづけていた。新機種の入荷状況もメンテナンスもいまいちな店だったが、一角に設けられた飲食スペースの存在が俺達に大好評だった。俺達は10時の開店と同時に餓狼をプレイし、昼頃に近所で買った弁当をかきこみ、再び餓狼の筐体の前に座るのだった。
そんな俺たちの中で大人気のメニューがあった。近所のテイクアウト可の中華料理屋で売られている春巻き弁当だった。弁当を買って帰って来た時に、自動ドアが開くなり鬼の形相で「春巻キ 買ッテ キマーシタ!」
これだけで仲間から大爆笑を勝ち取ることができた。俺達全員の昼食は常に春巻き弁当だった。ブームが円熟気に入ると、いかに声を似せるかだとか、ポーズを似せるかだとか、はたまた「春巻き買ってきました」って言ってるのにモーションは何故かパワーダンクだとか、ハルマゲドンバスターは研究され続けた。
ちなみに春巻きは俺達以外にも売れていたらしい。毎週毎週、春巻き春巻きと騒いでいたせいで、つられる奴も少なくなかったのだろう。店員の爺までが春巻き弁当を食ってるのを見つけたときは、俺達は声を押し殺して笑った。
その後、中華料理屋は春巻きブームに気を良くして、具材を変えたり味付けを変えたりといった変り種を作り始め、春巻き弁当だけで6種類ものバリエーションが売られているというおかしな事態になってしまったのだが、時を同じくしてリアルバウト餓狼伝説の台は撤去されてしまい、俺たちが春巻き弁当を買い求めることはなくなってしまったのだった。




古いゲームや漫画を見たとき、それにまつわるありもしない思い出を捏造してみるとノスタルジックな気分が倍増して楽しいかもしれないと思ったので、やってみた。
結果…春巻きが食べたくなっただけだった。