逆転裁判4(ネタバレあり)

遅くなったけど逆転裁判4の感想。なんだかんだでよくまとまってる感じで、俺はけっこう好きだな。瞬間的にすごく楽しいって場面が何度もあったし。しかしまとまってるんだけど細部がなー。調整の時間がなかったのかなー。とりあえず、そう思ったところを書き出しつつ。


まずはキャラクターの話。前主人公から大きく変更されることはなかったオドロキくん、開発者インタビューで「一人称が、ナルホドくんは僕だったけどオドロキくんは俺なんですよ」だとか「ナルホドくんが青い服なのに対してオドロキくんは赤なんですよ」などと説明されてたけど、ほんとにそれぐらいしか語ることがない……。作中のキャラクターが「ツンツン頭」だの「赤い子」だのと外見的特長を囃し立ててプレイヤーに新主人公を印象付けようとしている様を見ていると物悲しい気持ちになってくる。しかしこれは仕方ないか。ジョジョだってジョナサンからジョセフという比較的外見が似たキャラクタを経たからこそ承太郎に繋げる事ができたわけで、これがジョナサンの死後に続く第二部の主人公が仗助だったら流石に読者もついてこれないもの。とは言え、プレイしている間にオドロキくんにもだんだん愛着は湧いてきくるんだけど詰めの甘さのせいで……と、これは後述。
そしてミヌキ。居るだけ少女ミヌキ!登場回はイベントにも大きく絡んで活躍するも、以後は居るだけ。たまに法廷シーンに出てくると「あ、この子、法廷内にいたんだ……」などと思ってしまう。これって新システムの「見抜く」をミヌキの出番にするだけで解消できたのに。ナルホドくんがポーカーやってる横で答えを教えてたってエピソードもあるし、そっちの方がしっくりくる気がする。一話のラストで「彼女は凄い能力を持っている」みたいに煽っておいて、「主人公の方が凄い力持ってるので最初の解説以外に出番がありませんでしたー」ってどうなんだ。
牙琉響也はライバルキャラとしてよく頑張ってたっぽいけど少し気になる点が。盲人のキャラクターが証人として立ってる場面で、事件について見落としをしてる王泥喜に対して「目が見えてないのは○○(その場にいる証人)さんだけじゃなかったようだね」と茶化すのはマズいよなー。いや、そういうキャラならそういうキャラで問題ないんだけど、その後、別のキャラクターが盲人に対して失礼な発言をすると「言いすぎだ」などと怒りだすんだよな。すごい勝手な響也さん。こんな具合にテキストで気になる点もいくつかあったような気がする。
で、惜しかったなあと思うと同時に、これは難しいよなと思ったのがラスト付近。プレイヤー視点だとほぼ謎の全貌が分かった状態で最後の法廷に臨むことになるので、ラスボス戦の緊張感がない。これはほんとに惜しかった。ようやく新主人公に愛着が湧いてきたころなんだから、一緒に戦って勝利するという達成感を味わわせて欲しかった。謎解きのお膳立てを成歩堂がやってしまうこともあいまって新主人公の見せ場がぼやけてしまった感じ。プレイヤーとしては「王泥喜!君こそ仮面ライダー4号だ!」って認めてあげたかったのに。
そして何が難しいと思ったのかというと、この「プレイヤーには分かってるけどキャラクターは分かってない」って状態。確かにこの状態はもどかしいんだけど、逆だと困る。キャラクターが勝手に謎解きしてる様をふーんって聞いてるだけじゃゲームである意味がない。逆転裁判では「大の大人が集まってるのにそんなことにも気付かないのかよ」みたいなシーンが多々あるんだけど、それぐらいじゃなきゃプレイヤーとしてはきついんだよな。一番いいタイミングなのはプレイヤーが気付いた直後にキャラクターも気付く、とかだろうか。その点、4のラストはプレイヤーに気付かせるタイミングが早すぎたように思える。あ、関係ないけど3話のダイイングメッセージ関連でもプレイヤーの推理とキャラクターの推理のスピードが違うために起こるもどかしさがあったっけ。ここら辺の調整は難しいんだろうな。個人差ありまくりだろうし。
そして最後は逆転裁判4の不満点とはズレる話。このゲームでゲームオーバーになった時のペナルティって、その章の最初に戻されることなんだけど、これって「罰として今まで読んだ文章をもう一回読みなさい。既読スキップは許しません」ってことなのよね。なんかすごい罰だよ。罰として書いた文章でもなかろうに。
だいたいのゲームにおいてゲームオーバーのペナルティって要するに「ある地点まで戻ってもう一回やり直しなさい」ってことなんだけど、アクションゲームなら同じ場面の繰り返しでも瞬間瞬間の戦いだから問題なく楽しめるし、RPGならば得た経験値やアイテムを失ってしまった代わりに先の展開に関する知識を得た状態で再挑戦するわけだからプレイ内容は変わってくるはずなので、やはり楽しめる。しかし、逆転裁判4の場合は同じ文章をもう一回読まされるだけ。これはどうなんだろうな。だからこそゲームオーバーにならないように頑張るってことで意味がないことはないんだろうけど。考えれば考えるほど不思議な罰だよなー。まあ、プレイ中に中断を選べば中途セーブが可能なんだけど、だったらゲームオーバー後にセーブさせて既読スキップさせてやりゃいいじゃないかという気がする。
あとは…宝月茜に関わるゲーム性皆無の科学捜査の数々は……いらないかな…。言われるのかな(誰が誰に言うのか知らないけど)、「せっかくDSのゲームなんだからタッチペンやマイクを使う場面を用意してください」みたいなことを。茜の科学捜査を100個ぐらい集めればグルーヴ地獄Vみたいなゲームが作れるかもしれんな。