ハッピーバレンタイン

イベント商戦は先手を打つのが当然とはいえ、元旦の駅貼りポスターでお菓子メーカーが「もうすぐバレンタイン!」っつう感じの広告を出していたのには戸惑ったな。1月1日ともなれば視覚聴覚は自然と「あけましておめでとう」を受け入れる形になっているものなのに、そこでバレンタインという名の足払いを食らったのではバランスを崩して駅のホームから転落しかねん。かつて、とあるカレーのCMは「おせちもいいけどカレーもね」などという宣伝文句を唱えたが、これには「おせちもいいけど」という遠慮が見られる。ところがコイツときたら「おせちもいいけどチョコもね」などという遠慮会釈の欠片もなく「チョコ食いねえ!さあさ、チョコ食いねえ!」という正月の空気など知ったことかという傍若無人なチョコ独尊的態度。甘美なる悪魔が正月の静寂を切り裂く。奴が通りすぎたあとには恋しか残らぬ。