カリー神

行きつけのカレー屋の日替わりランチメニュー以外に楽しみがない人間が存在する…話はしたっけ?しかし本当なら、それほど日替わりカレーを楽しみにする必要はないんだ。その店に通いつめてる俺は「食べたいカレーがあったら、日替わりメニューになくても作りますよ」って言われてるから。でもそれは言うなれば決定付けられた運命の改変。定められた流れを人為的に変えることはカレー時空に大きな歪みをもたらすかもしれん。さすればおびただしい血(カレー色のやつ)が大地に流れることになるであろう。
そういうわけで俺は、日替わりにないメニューを注文する行為を「禁呪」と呼び、今日の今日まで封印してきたのだが、なんかさっきカレー屋行ったら「今日の日替わりカレー、マトンが入った甘いやつ」とか言われて…。もう、これはしょうがないじゃん?カレーなのに甘いやつってなあ。んで、仕方ないってことで禁呪を行使した。「彼女が生き返るなら俺は悪魔にこの魂を捧げよう!」みたいな表情で「あ、チキンと豆のカレーをください」って言った。自分に定めた掟を破ってまで手に入れたカレーは砂のような味がした。うそ。普通にチキンと豆の味がした。