トライゴンについて覚えている2、3の事柄
コナミのトライゴンというシューティングゲーム、それなりにプレイしていた記憶はあるのだけれども、その内容を全く覚えていない。自機の形も、面の構成も、飛来する雑魚敵の姿はもちろんボスの形状も全く記憶になく、名曲といわれるらしいBGMすら覚えていない(まあ、BGMについては俺がプレイしていたゲームセンターの環境によるところも大きいと思うのだが)。
しかし何故かトライゴンというタイトルを聞くと「なんか手が痛かった気がする」ということだけは思い出すことができ、はて、これはどういう記憶なのだろうと思ったら、twitter経由で「トライゴンには連射性能に長けるバルカンと威力で勝るスプレッドという二種類のパワーアップが存在するのだが、バルカンを連射しつつスプレッドを取ると高威力のスプレッドを連射することができるというバグが存在した」という話を聞き「それだ!」と手の痛みの理由を思い出した。俺はトライゴンについて全てを忘れてしまったが、たった1つだけ、必死にボタンを叩き続けた記憶だけが残っていたのだった。これが俺にとって熱い話なのか愉快な話なのか寂しい話なのかはわからん。少なくとも読んでる人にとってどうでもよい話だというのはわかるけど。
ちなみにエントリのタイトルにある「2、3の事柄」というのは、スプレッド連射の話に加えて、馬鹿でも忘れようがないトライゴンの象徴たる二種類のボムの記憶を合わせて「2、3の事柄」というわけだ。「それならば3つの事柄でいいのではないか」と言われそうだが、俺の記憶にあるライトニングソードは戦国エースに出てくるアインのサムライソードにすりかわっていたのであった。人の記憶とは恐ろしいものである。
そして、もうひとつ忘却の魔物に食い荒らされたゲームがガンフロンティアだ。これも俺のお気に入りだったゲームのひとつであり、ダムを破壊してボスを水没させるなどといった当時のシューティングとしては珍しいギミックに興奮したものだった。中でも語り草となっているのが最終ボス戦である。最終戦のみ6発の弾数制限が設けられ、自機と巨大戦闘機による、まさに西部劇の決闘のような緊迫感のある一騎打ちが始まる。この突然の展開に当時の俺の口元には驚きと緊張から知らず知らずのうちに笑みが浮かび、「畜生、なんだよコレ」とうれしそうに呟きながら握りなおすレバーはうっすらと汗ばんでいた。
……ところが、だ。そこからのことを覚えていない。俺は勝ったのだろうか。それとも負けたのだろうか。驚くべきことに俺はそれを覚えていないのだ。15年以上前の出来事とはいえ、それを覚えていないなんてことがあるのだろうか。あるのだから仕方がない。俺は辺境の惑星の平和を取り戻すことができたのか、それとも撃墜されて哀れ海の藻屑と消えたのか。……人の記憶とは恐ろしいものである。