オタ夢十夜 4

こんな夢を見た。俺は勝ち抜きMAD選手権なるテレビ番組に出演している。かなり大掛かりなセット。多数の客。勝ち抜きと銘打たれているが、出演者席は俺のものが1つあるのみだ。最初のお題は『クイズ100人に聞きました』の「てーれーれーれーれー……ピンポンピンポン」というSEに合わせて動画を編集せよというもの(一応説明しておくと、この効果音は解答者が答えを提示してから正解がでるまでの時間を盛り上げるためのもの。ピンポンは言うまでもなく正解時のSEである)。素材となるアニメはふんだんに用意されていたが、俺はジャブ的な意味合いで、使用する動画をエヴァンゲリオンだけに絞ることに決める。「てーれーれー」の一音ごとに各話から切り取ってきたエヴァ初号機の発進シーンを割り当て、「ピンポンピンポン」で痩せ細ったアスカがバスタブに浸かるシーンを流す……というもので客の反応を見てみる作戦。
さっそく俺の作品がステージに設置された巨大モニタに映される。設定したとおりに「てーれーれーれーれー」で様々なエヴァ初号機出撃シーンが表示されるが、「ピンポンピンポン」の所では、なぜか正面向きで無表情の俺がアップになる。「あれえっ!?」どっと沸く客席。司会者を見ると、ポケットに手をつっこんだまま体を折り曲げた姿勢で笑っている。俺は眉毛を八の字にし、曖昧な照れ笑いを浮かべながら司会者に抗議の意を示す。「ほんと……あの、こういうのは…ね?ほんとやめてくさださい」司会者は「あー、ハイ。すいません。もう大丈夫。もう大丈夫ですので」
何かの手違いであったのだろうと自分を納得させ、次の解答を捻り出す。「ピンポン」の部分がオチになるわけだから、ここを先に考えて逆引き的に前の部分を構築していった方が良いかなと考えた俺は、すばやく手持ちの動画をチェックし、オチにふさわしい場面を探す。こうして自信作とは言わないまでも、そこそこ会場のウケはとれるのではないかという動画が完成する。
再び完成作品の公開。「てーれーれーれーれー」……そしてやはり証明写真的な俺の顔がアップに。場内、手を叩いて爆笑。司会者は机を叩いて喜んでいる。俺は泣き笑いのような表情で「ほんと……あの、こういうのは…ね?ほんとやめてくさださい」司会者は「あー、ハイ。すいません。もう大丈夫。もう大丈夫ですので」
俺の恥ずかしさは限界に達していたが「こんどは大丈夫」という司会者の顔はとても信頼できるものに思えたので、うつむきながらも三つ目の作品の製作に取り掛かる。確かに今度は大丈夫な気がする。あの人は信頼できる。