なっち星

ある時、モー娘。のコンサートの終演後に、この世で一番なっちを深く愛する2人の男が殴りあったという話がある。搾り出すような声で「なっちはなぁ……。なっちはなぁ…」と叫びながら、この世で自分だけが知るなっちの美しさを伝えるべく拳を振るいあったと聞く。警察も来たと聞く。
永きに亘る激しい争いの末に2人は共に倒れた。その姿を見た神は彼らを哀れに思い、2人の姿を星に変えて空に上げた。皆さんもご存知の双子座である。
俺がこの喧嘩に関して知っているのはインターネット上の情報だけであり、この喧嘩が実際に起こったものなのか、それとも誰かの創作なのかはわからない。ただ、事実として夜空にカストルとボルックスという2つの星が輝いている以上、これが全くの作り話であるとは思えない。愛のために血を流し、その身が星となって輝くほどに内なる愛を燃やした男達。しかし、多分なっちは彼らの事など知らない。まあ、彼らだって実際はなっちのことなんて何も知っちゃいないのである。