孤独なアルファ

ステッパーズストップ(http://www.geocities.jp/steppersstop/)久しぶりの新作フリーゲーム『孤独なアルファ』をプレイした。フリーゲームでしか発表できないような外角ギリギリの球でありながらもストライクゾーンは決して外さないのがPorn氏のゲームの面白さだと思うのだが、今回も期待を裏切らない作品だった。……などと言いながら最初は選択肢総当たりゲーなのかなーと思って早々に見切りをつけようとしてしまったことを先に告白しなくてはならない。だが実際はトライ&エラーこそ要求されるものの、与えられた情報を吟味することによって正解への道が浮かび上がって来るシンプルなアドベンチャーゲーム(というカテゴライズも乱暴な気がするのだが)となっている。ただ、このゲームの特殊な点は、限られた『理力』をを無駄に消費させるための数々のダミーが存在するのは当然として、クリアに必要な情報を得るためにも理力の消費を要求される所にある(本来なら説明書に載せるべき情報さえも!)。また、物語の全容を深く知ろうとすれば更に理力を消費する羽目になる仕様であり、それはクリアするのに充分な理力が確保できなくなる事を意味するのだ。不親切どころではない。システム上の欠陥が招く理不尽な死だ。だが、それは本当に欠陥なのか?その死はワンクリックで抜け出せる死だし、そもそもウィンドウを閉じない限りゲームは終わらない。プレイヤーは何度も理不尽に打ちのめされながらも、いつか物語の終局に辿り着くだろう。ボリュームの少なさを逆手に取ったバランス調整は商業作品では真似できないテクニックではないだろうか。
この、しっかりした人骨模型に荒っぽい肉付けを行った感じはフリーゲームならではだと思う。荒っぽい肉付けどころか本来なら人体には付いていないパーツまで付属しているようにすら見える。そんな中で、頭蓋骨の窪みに見える眼球だけはハッキリとした意思を持ってこちらを見ているような印象。そこに、この作品の説得力があるのではないかと思った。