酒と修二と男と彰

青春アミーゴの歌詞で気になったことなんだが、

辿り着いた、暗い路地裏
しゃがみこんだ あいつがいた
間に合わなかった、ごめんな

ここ。
このあと、

あの日交わした、例の約束、
守れないけど

と続くことで彼は死ぬということがわかるわけだが、だったら「しゃがみこんだ」じゃなくて倒れているような描写にした方がわかりやすかったのではないか。最初の方の歌詞にある「もうダメかもしれない」という情報が聴き手には予備知識としてあるので、倒れていると聞いた時点で死亡寸前であることが予想できる。わかりやすさという点ではこっちが正しい。
だがまあ、あれはしゃがみこんでた方が正解なのだ。
何故かというと「路地裏の壁にしゃがみこんでもたれかかっている友人の震える手をとる」という方がビジュアル的にセクシーだからである。
ビジュアル的と言われてもこれは歌だ。基本的にビジュアルは存在しない。にもかかわらず、作詞家がビジュアル的な美しさを優先したというのはなんか興味深い気がした。思ったよりも、アイドルの歌であることを意識した作詞なのかな?と。
ああ、でもこれって中年層にも受けているような話を聞くから、いい歳した男にとっても正解なのかな。
この曲が10年前に出ていたとしたら友人は「倒れて」いなければ正解じゃなかった気がするんだよなあ。なんというか流通する情報の増大のおかげで、日本人がビジュアルを想像することに慣れたということかなーとか思った。


関係ないけど、レトロな雰囲気に誤魔化されがちだが、最初に「携帯が鳴り響いて」るから舞台はめっちゃ現代なのね。ミ・アミーゴ。