醒めない回路

瞬間的なかっこよさを追求したせいで全体的な整合性がとれてないというのは漫画でありがちな話であり、それはしばしば読者の批判の原因となったりする。
しかし仮に全ページ全コマが瞬間的なかっこよさで満ちあふれているとしたら、読み手の脳裏に整合性だなんて言葉が思い浮かぶ間もなく、そこには興奮だけがあるのではないだろうか。まあ、本を閉じれば我に返るかもしれんが、それでも体に染みこんだ魔力のせいで批判的なことを考えようとした脳は曇り、間違いを指摘しようとした唇は貼り付いて開かないことであろう。
などと思ったが、その魔力を漫画側に求めなくてもいいのではないかという気もする。つまり読み手が各自その魔力を持続させる術を編み出せばよい。醒めない回路を脳に組み込み、自分の感覚にエンチャントを施し、興奮の点と点を繋いで間断なき歓喜の直線を描く。
ここまで書いて、それは腐女子やネット時代の萌えオタが達成してきたことかもしれんなーと思った。