他に名付けようがないし

秋葉原ヨドバシの前に設置されたドラゴンクエストすれちがい通信用スペースである『ルイーダの酒場』だが、このネーミングに関して俺が思うのは「でもこれ…酒場じゃなくて道路じゃないですか…」ということだ。いやいや、ヨドバシAkibaの計らいは粋だと思うし、こういう形で能動的にドラクエというイベントを楽しもうとするプレイヤーの姿勢も良いものだと思っている。しかし、やっぱ…道路が酒場を名乗るのは壮絶ずうずうしいっつうか、炎天下の路上で「酒場だ酒場だ」と群れ集う一団は狐に化かされているとしか思えないっつうか……。
だが、「じゃあ、おまえだったら、このスペースになんて名前を付けるの?」って聞かれると困る。少し悩んだ俺は、やがて観念したように「ルイーダの……酒場……かなあ?」と答えるに違いない。だってベストな答えなんだもの。ドラクエプレイヤーが集まる場所だということを簡潔に表現しつつ、ムードを壊さない。これが『ドラゴンクエストすれちがい通信用スペース』みたいな、正確であるが間延びした名前であったとすれば、これほどインターネット等で話題になることはなかっただろうし、逆にドラクエ用語を使いながらも捻りすぎたネーミングだったとしても上手くいかなかったのではないかと思う。そんな圧倒的な正解の前には道路を酒場と呼ぶことなど取るに足りないことだ。しかし俺としては、どうしてもしっくりこないのだ、道路を酒場と呼ぶことが。なあ、だって道路だぜ?
話は変わって宮村優子についてだ。そうだ、パチンコ屋の営業を生業とする彼女の事だ。もはや都内のパチンコ屋で宮村優子が来なかった店はないどころか、同時刻に複数店舗で宮村優子の来店が確認された例もあるというぐらい大忙しの彼女。その来店を告知するためのポスターに書かれたキャッチコピーが判を押したように「アスカ 来店」なのが気になる。同系列店舗だというわけでもないのに、どのポスターもどのポスターも「アスカ 来店」だ。もうちょっと他店との差別化を図るような努力を見せたらどうだね?と思いはすれど、「じゃあ、おまえだったら何てコピーを添えるんだね」と聞かれれば、やはり少し迷った末に「アスカ 来店……かなあ」と申し訳なさそうに答えるに違いない。
凡庸なネーミングは必ずしも失敗ではない。誰でも思いつくってことは、誰の心にも潜んでいるフレーズってことだからね。つまり、その名前を見た瞬間に名付け親の意図がすんなり理解できるって事だ。……まあ、あれは道路なんだが。製品名、バンド名、ブログのタイトルなど、ネーミングというのは我々の頭を悩ますものだ。こういう時はオリジナリティをアピールすべく突飛な名前を考えてしまいがちだが、あえて誰でも考え付くような発想に立ち返ってみるというのも良いかもしれない。……まあ、あれは道路なんだが。