サウンドノベルはてな弐

自分で書かなくても、前日いただいたトラックバックid:msrkbさんとexitemeganeさんに言いたいことはほぼ言ってもらえた感じです。ブログ便利ー。実は書いてもまとまらなかったので(バカだから)困っていたのです。
個人的には日常と思って踏み出した場所がフィクションだったというハプニング演劇めいたものが見たいなって思ったんですが、こちらの想定したエンタテイメントを提供するためのハードルが高いので、だったらいっそ閲覧者の視点を完全にコントロールできる家庭用ゲームの方が良いんじゃないかと思ったんだけどなんか実現のハードルは更に上がっちゃった!もう駄目だ!とかそういう感じでした。
んで、どんなストーリーだと面白いのかなーと思ってたところ、知人より「美少女が空から降ってくるってのはどうです」?という意見。
ああ、面白いかも。
要はオタ漫画の伝統である押しかけ女房型なんですが、この手の話が押しかけられ側の混乱を中心に話が進むのが一般的であるところを、降ってきた美少女もブログ書いてるってのはおかしくて良いなと。お前が書くんかいみたいな。
そして偶然2人のブログを見つけてコメント欄に乗り込んでくる押しかけられ男子の元恋人(はてな市民)や、美少女をつけねらう犯罪組織のボス(はてな市民)、超古代兵器(はてな市民)、冷凍睡眠から復活したヒットラーはてな市民)の人間関係が複雑に絡み合うストーリー。
ごめん。上の全部なし。冷凍睡眠状態のヒットラーより寒かった。


で、ですね。

のエントリを見ていただければわかるように、id:Hayashidaさんが

こんなネタ日記をやられるみたいです。
ほんとブログ便利だわー。最終的には俺、何もしなくて良くなるんじゃなかろうか(結果、肥大した脳みそと一本指だけの生物に)。


読みたいと思いながらいまだに読んでないのに適当なこと言いますけど、2003-11-01ってブログザッピングでやれないかな?Xbox360でブログゲームを作るならこういうのがいいんじゃないかしら。読み手が複数のブログの繋がりをどう解釈するかによって冒険者達の過去の体験が変わるっていうゲームで。ちょっと面白そうだと思うんだけどどうだろう。

生まれた日に死んだ

SMAPの新曲、BANG!BANG!バカンス!を聴くと思い出すことがある。

男前だね木村くん
当たり前だよ前田さん
前田さんなんてウチにはいない
(作詞の宮藤官九郎のイメージとしては、褒められた木村拓哉が浮かれすぎて、居もしないメンバーの名前を口走ってしまう、という感じらしい)

週刊少年ジャンプの1992年38号に"生まれた日に"という読み切りが載った。手塚賞受賞作である。
作者のペンネームは"曼荼羅"。正確な年齢は覚えていないが16〜18歳であったために「○○歳の鬼才登場!」のようなアオリとともに掲載されていたはずだ。
しかし内容はといえば高校生が思いっきり背伸びして書いたハードボイルドヤクザもの。本人は人間の心の光と闇を描いたつもりだろうが、そこはどうしても経験値が足りないゆえに滑稽な仕上がりになってしまっていて、俺の周囲では大爆笑コミックとして人気を呼んだものだ。
とくに俺等の間で流行った台詞は以下。

「生まれた日に死んだぜ…」(主人公のモノローグ)
「金だ 金が欲しかったんだよ…」(殺されるヤクザの台詞)
「やりすぎだ!前田さん!」(相手を殺さんばかりにボコる主人公を止める舎弟の台詞)

箇条書きしても面白さが伝わりにくいと思うし、現物を見せたところで他人にとっては全く面白くないのかもしれない。しかし俺と友人達の間では爆発的に流行した。
特に3番目の「やりすぎだ!前田さん!」はお気に入りで、俺と友人が上京してきたのちも、程度が甚だしいものを見た時には「やりすぎだ!前田さん!」と叫ぶという形で使われていた。
ある時、友人が里帰りするとき「どうやら俺の部屋にある漫画が捨てずに保管されているらしいから、"生まれた日に"が載ってるジャンプを探して持ってくるよ」と言った。
俺は数年ぶりにあの「やりすぎだ!前田さん!」が拝めるのかと大興奮して彼が東京に戻ってくるのを待った。
しかし戻ってきた彼の口から出た言葉は驚くべきものだった。
「あの漫画、見つけたよ。でも、あれのどこにも『やりすぎだ!前田さん!』なんて台詞はなかった。何度も何度も読み返してみたけど、どこにもなかった。それどころか、前田さんなんて出てきていないんだよ!」
単なる記憶違いはよくある話だが、それが2人の人間の脳に鮮明に焼き付いている状態とはなんなんだろう。片方の勘違いを片方が信じこみ、やりとりを繰り返すうちに、それは鮮やかさを獲得していったのだろうか。少なくとも俺達2人は数年間にわたってありもしなかった過去を思いだしては笑いあったのだ。なんとも妙な気分になる。
"生まれた日に"を読んだのは夏だった。あれから長い年月が流れ、訪れた幾度目かの夏に、SMAPによってそれを思い出させられるとはねぇ。全く妙な話だ。思いもしなかった。思いもしなかったよ、前田さん。