怖いくらいに ときめきトゥナイト

キャラクターの厚みを増すためにはまずトラウマ。最近の漫画によくあるこの辛気くさい傾向は不景気の影響だろうか。どいつもこいつもメソメソメソメソ。
トラウマの内容は知人の死だの失恋だの我々にもある内容なのだが、そこは漫画なので奴等の起こす問題は規模が違う。
母が死んだので街1つ潰しましたとか、失恋したんで地球を半壊させましたとか、カップ焼きそばの湯切りに失敗したので妹をレイプしましたとか。
だからまあ、なんだ。共感しづれえんだよ。中高生だって痛み堪えて日々生きてんのにさー。軽はずみに大事件起こすなよ。
そんな感じでときめきトゥナイトを読み返してたら、そのライトさに震えたよ。
えーと。魔界人である主人公・蘭世さんの恋に反対する母親(人狼)が恋の相手・真壁くんを噛み殺そうとするんだ。で、かばおうとして噛まれてしまう。蘭世は母親と同じ魔界人ゆえ死は免れるものの、人狼の血のせいで耳と尻尾が生えてしまう。
ここで蘭世に立ちはだかる問題は、

  1. 人間と魔界人、禁断の恋(老いる速度も違うので幸せになれるはずがない)。
  2. 母親が恋の相手を殺そうとした。
  3. 母親に殺されるとこだった。
  4. 狼の耳としっぽが生えた

これ、今の漫画なら2話ぐらい陰々滅々としたモノローグが続くよ。しかし、実際はこうだ。

(蘭世、ベッドに腰掛けている)
「ああ最悪 日ましにふつうの女の子から遠ざかっていくみたい」
「真壁くんおねがいです 蘭世はこんなヘンな子だけどキライになったり…しないでね」
(ベッドに仰向けになって顔を赤らめつつ)
「ああだけど お見舞いにきてくれたなんて夢みたい 会いたかった…」

に、2コマ!しかも3コマ目で完全復帰!
このアマ、根本的かつ深刻な問題を「ヘンな子」で済ませやがったよ!
素晴らしい。蘭世最高だ。
時にはこうやって問題から目を背けていくことも必要だよね。