寝ずの番
先日、ゲーオタ達の集まる会合に呼ばれた。
ネットの情報からすると最近のトレンドはどうぶつの森。ドブ森(略称)どころかDSすら持ってない俺は、テーブルの端で寂しい思いをするのではないかと心底怯えた。
「僕の森においでよ!」
「いやいや、僕の森においでよ!」
「ここは俺にまかせてもらおう」
「おっおまえは卍丸ーっ!」
とか、そんな感じの会話がなされ、会話は全部DSを通じて行われたりするのではないか。まあ、結論から言うと誰もDS持ってきてなかった。むしろ1人だけ持ってきた人が寂しそうだった。
聞いた話によると、どぶ森では相手の所有物にまでは手を出せないのであるな。妥当であろう。家主の目の前で家具という家具を川に投げ捨てたりしたいのだが、小学生あたりは限度を知らないからなあ。現実の事件に発展するぐらいの凶行を行いそうだ。ネトゲでいうPK可能なエリアみたいなのがあればいいのか。いや、なんでそんな無理に嫌がらせしたがるんだ俺は。
だが次のポケモンにはWi-Fi接続アリだろうと考えると、「目の前にいなくても交換や対戦が!」ってのだけでは勿体なかろう。やっぱ個人個人がポケモンパークみたいなのを持っていて、深夜に家畜泥棒(楽してポケモンを集めたい他のプレイヤー)が侵入してきたりとか、そういうのがあるといいだろう。そのために番犬代わりのポケモンを置いたりするんだが、やっぱり侵入されて、見ている前で片っ端からポケモンを川に投げ込まれる。
そんな想像をしている時に思いついたゲーム、"寝ずの番"
ゲームはプレイヤーが森の奥にある洞窟から宝物を抱えて戻ってきたところから始まる。
森の中で夜を迎えたプレイヤーは焚き火を前にして寝ずに戦利品の番をすることになる。何故、番をしなくてはならないかというと、最初のチェックの段階で「宝物を手に入れることができなかった」と判定されたプレイヤーが宝を狙ってやってくるからだ。
プレイヤーがすることはイヤフォンをつけて外敵を警戒しながら時間を潰すこと。マンガを読んでいようがネットをしていようがかまわない。ただ、常に耳にだけは神経を集中していなくてはならない。盗人の足音はいつ聞こえてくるかわからない。
深夜の3時、見たくもない深夜番組を見ているとガサリと物音がする。あわててDSの画面を見る。どこに居やがる 俺の宝を狙う不届き者は!そこにメッセージが届く。
「腰がひけているぞ。怯えてるのか? このノロマめ。 金貨袋の中身を調べてみろ。お前がノロノロしているうちに全て石ころとすり替わってるかもしれないぞ?」
殺意を剥き出しにした表情で周囲を見渡す。しばらく画面を見つめていると気配ゲージが青に変わった。敵は去ったようだ。おそらく俺を消耗させる目的で来たのだろう。また時間をおいてやってくるに違いない。再び視線を深夜番組に移すが、さっきと違って気持ちは落ちつかない。テレビを消す。
電気を消した部屋で、DSの画面だけがまるで焚き火のように光を放つ。
…まあこれ、ずーっと接続してなきゃならないうえに、あまりにもゲーム性が低いから駄目なんだけど。や、深夜に画面が光ってるのがいいなーって(深夜であることを前提にしてるあたりがまた駄目)。