すれちがいドラクエ

すれちがい通信の代替現実ゲーム的側面に多大な可能性を感じている俺なので、ドラクエ9を見逃すわけにはいかなかった。すれちがい通信の致命的な弱点である「同じゲームをプレイしてる人が少なすぎて全然すれ違えない」という問題を余裕で解消する程度にドラクエが出回るのは間違いないので、俺の期待は大きく膨らんだ。さっそくDSをすれちがい通信待機状態にしたままカバンに放り込んで家の外へ飛び出す。そのまま徒歩で街中を走り回る。これが俺のドラゴンクエストだ。いつもは喧騒を避けて人通りの少ない路地を猫背でとぼとぼ歩く俺だが、今日ばかりは陽の当たる大通りを口笛吹いて歩いて行く。これ、軽度の引きこもりの人のリハビリに使えたりしないだろうか?いや、誰ともすれ違えなくて「俺はやっぱり必要とされてない……」などと落ち込むはめになったりする可能性もあるか……。そんなことを考えながら、人通りの多い商店街を中心に徘徊を続ける、すれ違い亡者こと俺。
どこに行けば大量のすれちがい通信に成功できるのか?小学校か?小学校の周囲をメタルスライムを求めて徘徊する勇者のごとくウロウロし続ければいいのか?いや、いかん。このご時世だとポリスとエンカウントして投獄もありえるからな。まだ牢屋の鍵を入手してない俺としては、それは避けねばなるまい。
歩きっぱなしで疲れたのでゲーセンでAnAn2をプレイ。しばらくした後、ふとDSを見ると見事すれちがい通信に成功している。座ってるだけで自動すれちがいマシーンとして機能することに成功した。ネットに「今日は一日中○○というゲーセンで遊んでます」などと書き込みをすれば、うまい事すれ違いまくれるかもしれんなあ。
で、肝心のすれちがい通信の特典なのだが、宝の地図のやりとりという要素はあるものの、基本的にゲームに大きく関わるようなメリットはない。すれ違ったキャラクターのプロフィールが見れるだけだ。まあ、そんなもんだろう。離島とかでドラクエやってる人もいるだろうし、あまりにすれちがい通信に力をいれてしまうのは問題があろう。名簿を眺めてニコニコするだけで充分だ。「この剣聖・パラノイアってキャラは、さっき薬局ですれ違った老婆かなー」とか考えてるだけで愉快な気持ちになれるのだから。
しかし、すれちがい通信って「異なるソフト間であっても通信できる」みたいなことは仕様的に可能なのかな?いや、データのやり取りはゲーム内容が違うわけだから無理なんだろうけど、例えば育成ゲームで、どんなソフトがスロットに刺さっていようと、すれ違った人数に応じてパラメーター増加、同じソフトだったら増加の幅が大きく、またプロフィールの交換が可能……とか。今回はドラクエという特殊なケースだからともかく、やはり、すれちがい通信の致命的な弱点は冒頭で述べた「すれ違えない」という点なので、これが解消されれば楽しくなるんじゃないかなあ。
さっきのゲーセンの出来事から思いついたけど、この何でもすれちがいシステムが実装されたキラーソフト発売に合わせて「今日から一ヶ月間、うちのゲームセンターのスタッフ全員が待機モードのDSを携帯してフロアに立ちます」などということをやったら売り上げがちょっぴり伸びたりしないかな?
「客が来ても、フロアを一周したら即退店しちゃってウザいだけなんじゃないの?」という可能性もあるけど、ここでポイントなのは「店員とのすれ違いを目的とした他の客ともすれ違える」という点。つまり、ゲーセンで遊び続けていれば次から次へとすれちがい通信が成功しちゃうというわけだ。どうよ、これ?ビジネスチャンス到来じゃね?(獲らぬ狸どころか存在しない狸の皮を数え始めた)
……などという妄想はともかく、やはりすれ違い通信にはロマンがあるな。DSの歴史が終わるまでに一本ぐらいすれちがいメインのソフトがあると良いなーと思いつつ、今日も明日も俺は街を駆け回るのだ。俺の冒険の舞台はストリートだーゼー。