都市の文字

老婆の営む定食屋のドアに「入り口です」の文字。
どう見ても他に入り口と間違うような場所は見あたらない。
黙々と働く2人の老婆。何を思い、わざわざあのような貼り紙を貼ったのか。全巻どころかファンブックまで揃ってるワンピースを読みながら、俺は飯が来るのを待つ。

帰り道にあったゴミ集積所に束ねられた古雑誌がおかれている。
ぼろぼろの紙が貼り付けてあり、「ゴミの日でもないのにゴミを出す非常識な人間は誰ですか?」の文字。黒マジックで書かれているが、「誰」の文字だけ赤い。
ゴミ出し日をを守らない人間は間違っている。ただ俺の感覚で言えばわざわざ「誰」の文字だけを赤マジックで書く奴の方が異常だ。黒マジックから赤マジックに持ち替える瞬間を想像すると全身がゾッとする。