オタ夢十夜5

こんな夢を見た。
タツノコプロ製作の野球アニメである『一発貫太くん』の続編は、異常なまでに路線を変更した『透明人間達は中国語を話さないだろう』という劇画タッチのホラー作品で、俗に言うタツノコ狂気路線の始まりだった。内容も成長した(というか全く別の顔になった)貫太とその知人女性が、マンションに巣食う怪異に脅かされ続けるというもので、野球に関するエピソードはすべて排除された。内容もさることながら、その存在自体の奇妙さが子供だった俺にとってはたまらなく恐ろしかったのか、番組の放送時間が来るだけで布団を被って震えたものだった。
そして今、『一発貫太くん』のリメイクが作られるという噂を聞いた。ネットで詳細を調べるとリメイクのタイトルは『二枚の黒い板』というもので、二枚の黒い板が対話し続けるだけの内容になるらしい。リメイクとは言い難い暴挙に俺は怒り、テレビ局に抗議の電話をかけようとした。しかしプッシュホンのボタンを押している途中で俺は冷静になった。よくよく考えると、現代の不安に満ち満ちた世相からして、このリメイクこそ妥当だとは言えないだろうか。なにせ第二期が始まった『涼宮ハルヒの憂鬱』も、二枚の黒い板が対話し続ける話になっているぐらいなのだから。