パラパラの構え

雀百まで踊り忘れず……は意味合いとしてちょっと違うけれど、体で覚えた動きというのは歳を取っても忘れないものだ。それでふと思ったんだが、数十年後、今ではすっかりボケてしまった第三次パラパラブーム経験者の婆が、孫の前で超スピードのパラパラを披露しだしたら、孫は怯えるだろうなー。完全なる無音の中、仏壇の前でパラパラを踊る婆を障子の隙間から見てしまった孫の心臓がユーロビートのスピードで高鳴る。まあ、第四次パラパラブームが来て孫がパラパラという踊りの存在を知っている可能性もあるだろうけど、そうでなかったら心底怖いと思うよ。妙にキレはあるものの他の踊りのどれとも似つかぬ奇妙な動作、かつその動きには儀式的なものが感じられるというあたり、すごく怖かろう。でも『げんこつ山のたぬきさん』だとか『ずいずいずっころばし』みたい手遊び歌が口承で後の世代に伝わっていく感じで、老人から孫へパラパラが伝わっていったら面白いんじゃないかなーとも思ったけど、パラパラは音楽がないと成り立たないから無理かな。婆自身が『NIGHT OF FIRE』を口ずさんだりするならば、それはそれでエキサイティングだったりするんだけど。
ネットで調べる限り、パラパラの語源はA-haの『Take on me』のイントロからきているという話なんだが、どの説明も判を押したように同じであるあたり都市伝説の匂いがするんだよなあ。詳しく調べたわけじゃないんだけど同曲のヒットとパラパラという言葉が生まれるまでに5年以上も開きがあるみたないなので、どうもしっくりこない。根拠があるわけではないが、俺は単純に何かを撒くような手の動きが語源じゃないかなーと想像した。まあ、そういう伝承遊びっぽいネーミングであった方が個人的に楽しいというだけの話なんだけど。「大勢の女性が一段高いところに立って何かを撒くような動きをする集会」ってなんか良いじゃない。伝えていかなきゃ!って気持ちになってくる。