水中毒、それは苦しい

「好きな飲み物は水」というと、そこはかとなく哀れな雰囲気が漂ってしまうものだが、実際の話、俺は水が好きだ。おそらくヘビースモーカーが煙草を絶やさないような感覚で常に水を飲み続ける。外出時においては携帯しているペットボトルが空になる度に自動販売機に立ち寄らないと残機が1機減ってしまうというシステムが採用されているので、目的地へ辿り着くのも一苦労だ。
だが、個人的にはこれがおかしなことだとは思っていなくて「人よりちょっぴり水が好き」ぐらいの感覚でいたのだが、先日、4時間の間に水を4リットル飲んだことをtwitterに書き込んだところ、皆から水の飲みすぎで脳障害になった例や命を落とした例などが記載されたURLが次々と送られてきた。その時の俺の口から飛び出したのは「えっ?お水って飲みすぎると死ぬの!?」という、もう既に脳に何らかのダメージを受けているとしか思えないボンヤリ発言だった。聞く所によると、カリフォルニアで開催されたという水ごくごくコンテストで7.6リットルの水を飲んだ女性が死亡したという事例もあるという。その他にも「コップ一杯の水は巨象をも絶命させる」「ナポレオンやヒトラーといった時の権力者の死の陰には常に水の存在があった」などの情報を聞き、俺は緩めかけていた3本目の2リットル入りペットボトルの栓を締めなおしながらガタガタと震えた。理系ジョークにDHMOというのがあるが、あれはあながち嘘じゃなかったようだ。
思えば神は何度も俺に警告をしていたのだ。かつてのエントリ『オタ夢十夜 3』(http://d.hatena.ne.jp/lu-and-cy/20080712/otayume3)で書いているように、水を大量に飲まされるゲームに苦しむ夢を見たり、『お水ごくごくマン』(http://d.hatena.ne.jp/lu-and-cy/20090813/waterdrinkman)というエントリにあるとおり、見知らぬ子供に「お水ごくごくマン」と呼びかけられたりといった具合に。
このままでは死んでしまう。俺が死んでしまう。例え死には至らないとしても、慢性的に感じている体のだるさの原因は水の飲みすぎにあるかもしれないし、適度な水分補給は必要であるにしても外出先でペットボトルの水を買い続けるのはあまり経済的ではない。これは改めていくべきであろう。……ということで力石気取りで家中の水道の蛇口を針金で縛ってみたりしたのだが……無理だろ、これ。水が飲みたすぎて、白木のお嬢さんが白湯を持って部屋に入ってくる幻覚が見え始めそうな勢い。気がつくと針金で縛られた水道の蛇口をキッと睨みつけながらペットボトルでごくごくと水を飲んでいる自分に気付いたりする始末。うわー。うわー。もうだめだー。水おいしー。